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日本とスウェーデンに見るシングルマザーの生活例 [福祉国家へ]

ブログ更新お休み中のつもりなのですが、そういう時に限って、卒業式関連、学習指導要領、映画「靖国」問題など、書きたいことがたまってきます。が、いったんそれらは保留して、今回は最近の悲しい事件について、どうしても考えてみたくなりました。みなさんご存知だと思いますが、小学4年生の男の子がお母さんに殺害された事件です。本当に痛ましいです。うつ状態など精神的な要素もあったかもしれませんが、根っこにあるのは貧困問題のようです。

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青森・八戸の小4絞殺事件、母「収入なく将来不安」
4月3日3時11分配信 読売新聞

 青森県八戸市で1日、同市立美保野小4年西山拓海君(9)が自宅で絞殺された事件で、殺人容疑で逮捕された母親の無職未紀容疑者(30)が、八戸署の調べに対し、「収入がなく、将来が不安になってやった」などと供述していることがわかった。

 県警関係者によると、未紀容疑者は約5年前に離婚し、両親の住む同市の実家に拓海君と移り住み、4人で暮らしていた。未紀容疑者は定職に就いておらず、将来の生活について悩んでいたといい、「誰にも相談できなかった」と話しているという。

 拓海君が通う市立美保野小の児童数は、今春の新入生4人を含めて8人。近所の60歳代の女性は「同世代が少ないので、困ったことがあっても相談できる人がいなかったのかもしれない」と話した。同署は2日、拓海君の司法解剖の結果、首を絞められたことによる窒息死だったと発表した。

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この記事を見てすぐに、スウェーデンのシングルマザーの経済状況についての取材記事を思い出しました。それは週刊東洋経済という雑誌の今年1月12日号「北欧はここまでやる 格差なき成長は可能だ!」という特集にありました。もちろん、上の日本の記事と単純に比較はできませんが、北欧諸国ではいったん社会に出て、その後に大学院や職業専門校でさらに勉強するというのはわりとよくあるケースで、日本でも次の記事のようなサポートシステムがあったら、こんな痛ましい事件は起こらなかったのかもしれません。

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引用してみます。1クローナは約17円です。

<このシステムがあるから1人で子育てできる>
 イェンニュ・アスクさん(38)は、大学の博士課程で民俗学の研究をしている。スウェーデンでは博士課程の履修生でも、学部教育などの業務に携わる必要があり、被雇用者として大学から給料を受け取っている。アスクさんの月収は約2.1万クローナ。税引き後、手元に残るのは1万5700クローナ(26.7万円)だ。
 実は、アスクさんは現在、1人で3人の子どもを養っている。1年半前に夫と離婚、ストックホルム中心部から地下鉄で10分ほど行った駅にある賃貸アパートに引っ越してきた。家賃は3900クローナ。食費など、家族4人の生活費は、元夫と折半している子ども関係の出費を除いても、合計1.4万クローナを超える。

 だがアスク家にはイェンニュさんの給料以外の収入がある。子ども1人に対して950クローナの児童手当(元夫と分け合いイェンニュさんは1900クローナを受け取っている)、また3人以上の子どもを持つ世帯に対する補助金として、454クローナが毎月支給されているのである。
 「収入としては十分だと思っているわ」(イェンニュさん)。なお、申請さえすれば住宅補助も受けられるが、今のところ生活に困ることもないので申請していないという。海外旅行には行けないが、休暇のたびに親戚や友人を訪ねて国内旅行を楽しんだり、週末は子どもたちを連れてカフェで過ごしたりする。
 末っ子のアルマちゃんは4歳。イェンニュさんが、仕事に出かける朝9時ごろに市の保育所へ連れて行き、午後4時に迎えに行く。11歳と14歳の息子たちは、学校の授業が終わるとバスケットボールやダンスをして過ごしたり、近所の友達の家で遊んだりしているという。
 子どもが突然熱を出したりしたときでも、親は給料の75〜80%の給付を受けて仕事を休むことができる。もし、子どもを病院に連れていかなくてはならなくなった場合の医療費は120クローナ、さほど急を要さない場合は、近所の診療所を無料で受診できる。「税金は確かに高いと思うけれど、こういうシステムがあるからこそ、仕事をしながらでも1人で小さな子どもを育てていけるのだと思うわ」(イェンニュさん)。

(中略)

アスク家の家計簿
母:大学博士課程を履修中(38歳)
子ども:14歳、11歳、4歳
住居:ストックホルム市内の賃貸アパート

             (クローナ)
収入:給料         21,000
    税引き後      15,700
   児童手当        2,300

支出:家賃          3,800
   子ども関連費       940
   食・衣・光熱・通信   6,630
   交通費など        500
   保険・他ローンなど    800
   その他         2,500

           収支差 2,670
           →貯金 2,370
            個人年金300

(中略)

 だが、こんなイェンニュさんも将来を考えると不安になることがある。所得比例が大部分を占める新しい年金制度についてだ。「長男が生まれた頃は学生だったし、その後も育児休暇を取るたびに、所得の全額をもらっていない期間が続いたので、これまでの年金ポイント数はさほど多くない」。
 イェンニュさんは、銀行の「年金貯金」に口座を開き、個人年金として月300クローナの積み立てを初めている。「ローリスクで利率は低いけれど、自分が年を取ったときには公的年金なんてないかもしれない(笑)」。
 スウェーデンシステムは、セーフティネットを張り巡らし、確かに世帯所得による大きな格差を生まないようにできている。だが、将来を考える若い世代の心には、微妙な温度差が生まれつつあるようだ。

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末尾の部分の「公的年金への不安」は、日本人がいままさに直面している悩みで、ある意味どこの国でも変わらないなあとも思いますが、現実味と深刻さは日本がはるかに大きいでしょう。

さて、日本とスウェーデンのシングルマザーの例を、1人ずつ見てみました。両国ともさまざまなケースがあり、ひとくくりにはできないことは当然ですが、ずいぶん違うものですね。まず最初に感じたことは、日本で育ち盛りの子どもを3人抱えたシングルマザーが大学院博士課程で勉強しながら生活することができるだろうかという疑問です。離婚した時から生活費、教育費を稼がねばならず、それこそ、昼も夜もかけもちで仕事をして家計を支えるというケースが一般的ではないでしょうか(子どもの保育園にもそういうお母さんはいます)。

読者の方にも一緒に考えていただきたいのですが、いったい何が違っているのでしょうか。
私が考えたところでは(実は時間がないので、それほど深く計算や分析できていませんが)
・博士課程の履修生が被雇用者として、生活できるだけの給料を大学から受け取っている。
・3人の子どもたちの現在および将来の教育費の心配がいらない(無料なので)。

手当も確かに日本より厚いのですが(イェンニュさんが無職だったら、もっと手厚いでしょうね)、それ以上にイェンニュさん自身への給料および子どもたちの教育費の不安がないというかたちで、教育や文化関連の公的支出がしっかりと確保されていることに感心します。

日本ではシングルマザーが将来の不安から子どもの殺害に追い込まれる。かたやスウェーデンでは3人の子どものシングルマザーが給料をもらいながら、自分のキャリアアップを目指して大学院博士課程に通い、ごく普通の生活ができる。

本当にうらやましいです。国のお金の使い方の話ですので、日本でもしようと思えばできないはずはありません。しかし、日本のベクトルはその方向を向いていません。むしろ逆方向かもしれません。悲しいです。



2008-04-03 13:25  nice!(1)  コメント(11)  トラックバック(0) 

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東西南北

まさしく、正論ですね。最大の刑事政策は福祉政策である、という格言があります。貧しくて将来不安でも我が子を育てているシングルマザーもいるんだから、今回の事件はこの人物の精神発達が未熟であり、「自己責任」である、という評価をしていたのでは、貧困を原因とする犯罪はなくならず、絶えず、貧困には「我慢と忍耐」で耐えしのぎ、貧困の抑圧を受けながら人生を終える、という結論になります。

 貧困という人間を押しつぶし、絶望させる力、人間を犯罪へ追い込む貧困をなくすような労働運動、市民運動、政治運動に団結し、連帯しながら、人間を憎まないで強く生きていく必要があります。この道しかないと思います。

 現代社会に生きる人間は誰しもが犯罪の原因である貧困、長時間過密労働などの人命軽視の条件の中で暮らしているのです。そうであるなら、みんなで貧困、長時間過密労働を是正していく運動に人間は団結し、連帯できるのではないでしょうか?

 最大の刑事政策は福祉政策である、ということです。
by 東西南北 (2008-04-04 23:57) 

志村建世

今、スウェーデンの対極にあると思われる「貧困大国アメリカ」という本を読んでいます。読み終ってから自分のブログでレポートしますが、日本は絶対にアメリカの後を追わないでほしいと思います。
by 志村建世 (2008-04-05 23:14) 

mai

>東西南北さん
ありがとうございます。そうなのです。私が言葉にできないながら言いたかったのが、まさに「最大の刑事政策は福祉政策である」ということです。おっしゃるように、貧困がふつうの人間をゆがめ、尊厳をはぎ取り、挙げ句の果てには犯罪を犯さざるを得ない状況に追い込むように思います。

フィンランドのシングルマザーの例は(もちろんかなりうまくいっているケースだと思いますが)、福祉にとどまらず、自分の力を伸ばし輝いていく方向に国全体のシステムが動いている点が素晴らしいと感じました。

格差を広げて貧困層を生み出しながら、愛国心、道徳、規律で社会の秩序を保とうとするいまの日本の方向は、本当に情けないです。

団結・・・とても大事なことですが、組合等の組織率も低下しているいま、新しい方向の団結を考えなくてはならないようにも思います。それがどんなかたちであるのか。私もいま一生懸命考えているところです。
by mai (2008-04-05 23:43) 

mai

>志村建世さん
どうもありがとうございます。先日、川田龍平さんと結婚された堤未果さんの本でしょうか。私は読みたいと思いながらまだですので、レポートを楽しみにしています。

OECD30カ国のなかで貧困率(100人中50番目の所得の人の半分以下しか所得のない人の率・・・でよかったでしょうか)は、アメリカに次いですでに2位ですね。政策的にもアメリカなど新自由主義諸国を急ピッチで追いかけているように感じます。なんとか歯止めがかかる方法があるのでしょうか(選挙で政権交代することが第一歩だと思いますが)。

by mai (2008-04-05 23:52) 

shira

 「小さな政府」というのは、誰もが自分の責任さえ果たせばきちんと生きて行けるだけの社会経済状況があって初めて成り立つ概念のはずです。それがなければ単なる政治の職務怠慢、社会はガタガタになっちゃいます。
 小さな政府をホントに実現したかったら、良好な雇用状況・民間による信頼できる福祉システム(医療含む)などが本来は不可欠なんですが、現実は「小さな個人」ばかりが求められているような。
by shira (2008-04-24 22:03) 

mai

>shiraさん
気がつけば、shiraさんの鋭いコメントが・・・。お返事が遅くなって失礼しました。
>小さな政府」というのは、誰もが自分の責任さえ果たせばきちんと生きて行けるだけの社会経済状況があって初めて成り立つ概念のはずです
なるほど、そうですね。そういうインフラを整備しないで(さらに悪いことには既存のものを削りながら)、個人にばかり責任を押しつけるのは公正な社会とは言えないでしょうね。
人のこころのなかにはどんどん介入しようとするのに(大きな政府??)、経済面だけ小さな政府を標榜するのは最低だと思います。
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